ビルエヴァンスは海外ジャズメンとして日本ではNO1の人気がある。数多い傑作の中でも1枚をというと全員がこれを選ぶと言っても過言ではない。冒頭の1曲目はイントロ抜きでテーマがはじまる。シングルトーンの得もいわれぬタッチに惑溺し、高校生の私は毎晩聴いた。ピアノにベースとドラムが絡みつき、高度な音楽的な対話を繰り広げ、心筋に直接触れられた思いがし、最上の美の世界に飛翔する。ベースの若き天才スコットラファロはこの名作録音の11日後に交通事故で死亡する。ショックを受けたエヴァンスはしばらくピアノが弾けなくなってしまう。数日前、若きロック界のギタリストが至高の一枚としてこれを挙げていた。永遠の名作だ。